著者
下村 明子 松村 三千子 杉野 文代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.5_55-5_64, 2004-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
25

本研究は,ケアリングにつながる看護教育の在り方のひとつとして,対人関係スキルを高め,患者理解のアプローチとして,講義にNarrative(物語り)を取り入れた。その後患者との関わりを,ロールレタリング(以後RLと略記)によって効果の検証を試みた。その結果学生のアンケートでは,80~90%の学生が肯定的に答えている。RLの記述内容を,グランデッドセオリーを応用した方法で分析した結果,患者をよりイメージすることが可能となり,患者の状況を意味づけし,理解できていた。GibbsのReflective・cycleから分析すると,RLの実践は,患者の状況を記述し,関わりを振り返ることから,患者の病気体験にまつわる感情移入を,体験的に学ぶ場として意図的に提供された。バルマンらのリフレクションスキル,特に自己への気づき(Self-awareness)が明確になり,ケアリングに通じる看護教育として効果があることが示唆された。