著者
李 世安
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.553-557, 2013-05

われわれ人間も動物の一種である。動物界の分類では,人は脊椎動物・哺乳綱・霊長目・真猿亜目に属して「ホモ・サピエンス(知恵のある人)」という学名が付けられている。考古学の発展によって証明されたことは,われわれ現代人を含む新人類の歴史は,スペインのアルタミラという所の洞穴にすばらしい動物の絵を残した「クロマニヨン人」の時(3万年前)からであった。人類進化の歴史をもっと先に糊ると,優れた石器と点火技術を持った「ネアンデルタール人」に代表される旧人類(10万年前),石を割って造った石器と棍棒および火を使う「北京原人」に代表される原人類(40万年前),アフリカに棲み,腐れ易い木の道具を使っていたと思われる頭骨の異なる「アウストラロピテクス」と「パラントロプス」の両者の代表する猿人類(200万年前),二本足で立つ,両手を使う「ラマピテクス」を代表する原猿人類(1500万年前),および四つん這いで歩いた原類人猿類(3000万年前)などがあった。人類は,この地球上に最も遅く出現したが,両手,両眼と大脳を使って自然を改変する唯一の動物である。人類の大脳の発達は,その使う道具に対する永遠に止まない改良と創造に表れる。これによって,今日の人の生活環境は,見渡すかぎりの空と樹木以外,すべて人工的なものになっていった。加えて,人と周辺の動物との関係もその影響下に置かれるようになっていった。