著者
大沢 正秀 李 康彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.357-363, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
11

同一患者において複数の臓腑経絡が関与する頭痛が生じ,それぞれの頭痛の特徴,増悪因子,緩解因子が異なる一例を経験した。症例は40歳女性。(1)後頭部痛(足少陰腎経が関与)。(2)両側頭部から目,耳の奥にかけての痛み(陽明,少陽経が関与)。弁証論治により,腎陽虚水泛,肝気上逆と弁証し,温陽利水と疏肝降気による活絡目的で,真武湯を処方。いずれの頭痛も軽減,消失した。病因病機では本たる証を腎陽虚,標の証として肝気上逆を考えた。真武湯は標治法としても本治法としても効果的であったと考えられた。