著者
李 湘平
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.205-220, 2008-03-10

株式会社という経営形態は,巨万の富を急速に築き,多くの人に利益をもたらし,さらに一国の経済発展を促進する。しかし,大規模な株式会社は,一旦不正・不当な行為が発生すると,社会に非常に大きな衝撃を与えるものである。バブル崩壊以後,企業不祥事が相次ぎ,経営者を規律づける機能の強化といったコーポレート・ガバナンスの議論が沸騰してきた。現在,コーポレート・ガバナンスの議論は極めて複雑な状況にあるが,その中核は,不正・不当行為を防止するために,株主が経営者を制御するメカニズムであると考えられる。監査役は,株主が経営者を有効に規律づけるのに,「見張り」という役割を担うのである。昭和49年以後の商法改正の軌跡をみれば,法は監査役に大きな期待を寄せ,監査役制度を何度も強化してきたが,企業不祥事が依然として続発しており,監査役は十分に機能しているとはいい難い状況にある。 本稿では、監査役制度の歴史や特質を取り上げ,コーポレート・ガバナンスにおける監査役の役割と位置づけについて考察している。