著者
高尾 雄二 李 虎哲 有薗 幸司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.589-593, 1999-06-05
被引用文献数
6 12

水中の内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)を簡便かつ高感度に分析することを目的とし, 同相マイクロ抽出(SPME)法とオンカラムシリル化法を組み合わせた手法を試みた. 水中のビスフェノールA(BPA)をSPMEファイバーに吸着させた後, GCの気化室内でBPAを脱離させカラム先端部に濃縮した. 続いて, ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)をマイクロシリンジで注入し, BPAをシリル化し, MS検出器で検出した. オンカラムシリル化した場合には通常のSPME法と比較して, 目的物質のシリル化体のピーク面積は20倍程度に増大し, 高感度に検出できることが分かった. 但し, 測定の度にSPMEファイバー固定用のエポキシ樹脂からBPAが極微量脱離するため, 定量限界は1ppbと以前報告した通常のSPME法と同レベルであった.