著者
高倉 直 高尾 雄二 武政 剛弘 池永 敏彦 平岡 教子 中村 武弘
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

Agave pasificaの苗の大量増殖を目的にin vitroで基礎実験を行い、その実験結果からジャーファメンタでの培養を行った。無菌種子から育てた葉の厚さ5mmの外植片をMS培地を修正した培地にホルモン(2,4DとBA)を添加し、蔗糖と寒天を加えた培地で培養した。いずれの培地においてもカルスが誘導され、生長も良好であった。その後、継代のカルスの生長培養条件を調べた結果、2,4Dを0.25mg/LとBAを10mg/L添加した培地で生長が最も良好であった。カルスからシュートの形成では、再分化した植物からはシュートとともに根を形成した植物も出現したが、しないものはホルモン無添加の培地に移して発根させた。12回継代培養を重ねたカルスからはシュートは形成されなかった。ジャーファメンタによる大量培養では、培養液として、大塚1号、2号の混合標準培養液を用い、25℃、暗期で3週間培養した。発芽率は対照区よりジャーファメンタを用いた場合が高くなる傾向を示したが、植物の生長に個体差が大きく均一性に欠けた。Agave pasificaはCAM植物であり、通常のC3、C4植物とは異なる光合成を行うので、その光合成をsimulinkを用いてモデル化した。二酸化炭素固定の第1ステップはメソフィル細胞で起こる。C3あるいはC4植物は明期にCO_2を取り込むが、CAM植物は暗期にCO_2を取り込む。CAM植物はC3植物に似た光合成を行う。4つのプロセスからなる。1)気孔をひらき、CO_2の固定、2)リンゴ酸の合成、3)リンゴ酸の消費、4)C3光合成である。光合成におけるカルビンサイクルは3つの生化学反応として表現できる。まず、第1はRuBPとその中間生成物(R)の合成である。Rはミカエルーメンテンの関係式に従うとして、各種の光入力に対して光合成がどのように変化するかをモデル化した。
著者
高尾 雄二 李 虎哲 有薗 幸司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.589-593, 1999-06-05
被引用文献数
6 12

水中の内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)を簡便かつ高感度に分析することを目的とし, 同相マイクロ抽出(SPME)法とオンカラムシリル化法を組み合わせた手法を試みた. 水中のビスフェノールA(BPA)をSPMEファイバーに吸着させた後, GCの気化室内でBPAを脱離させカラム先端部に濃縮した. 続いて, ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)をマイクロシリンジで注入し, BPAをシリル化し, MS検出器で検出した. オンカラムシリル化した場合には通常のSPME法と比較して, 目的物質のシリル化体のピーク面積は20倍程度に増大し, 高感度に検出できることが分かった. 但し, 測定の度にSPMEファイバー固定用のエポキシ樹脂からBPAが極微量脱離するため, 定量限界は1ppbと以前報告した通常のSPME法と同レベルであった.
著者
門上 希和夫 柳 哲雄 高尾 雄二 安井 英斉
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

中国大陸から河川経由で排出される化学物質の日本周辺海域への影響を検討するため,長江河口域で2012年度に2回河川水を採水し,網羅分析とターゲット分析を組み合わせて約1270物質を分析した。検出物質数は167物質,検出濃度は0.79~7.26 ug/Lであった。検出濃度と河川流量を用いて東シナ海へ排出される年間排出量を計算した結果,最低でも1年間に4460トンが流出していると推計された。東シナ海において長江の影響が最も大きいと考えられる地点では,河川水が1/11を占めていると計算され,本調査で得られた濃度では生態影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。