著者
澤原 光彦 村上 伸治 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.51-58, 2017 (Released:2017-01-01)
参考文献数
6

本稿では, 成人の心身症を含む精神医学的諸問題とその背景にある発達障害的特性について, いくつかの代表的な症状を呈した症例の素描を提示し, 筆者の見解を述べた. 発達障害を背景に生じうる状態像として, ①統合失調症類似の状態, ②うつ病・抑うつ状態, ③双極性障害・双極Ⅱ型障害, ④心身症, ⑤心気症的こだわり, ⑥強迫性障害, ⑦摂食障害, ⑧境界性パーソナリティ障害, を挙げた. これら精神医学的な各症状においては, 症状の表層にのみ関心を奪われ, 背景の発達障害的問題に配慮した支援を行わなければ, 難治化・遷延化の危険がある. 診断においては, 常に成育史に関心を払い, 患者の症状がその疾患の典型病像とどのように異なっているかを細心の注意をもって吟味する必要がある.
著者
澤原 光彦 村上 伸治 青木 省三
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.51-58, 2017

<p>本稿では, 成人の心身症を含む精神医学的諸問題とその背景にある発達障害的特性について, いくつかの代表的な症状を呈した症例の素描を提示し, 筆者の見解を述べた. 発達障害を背景に生じうる状態像として, ①統合失調症類似の状態, ②うつ病・抑うつ状態, ③双極性障害・双極Ⅱ型障害, ④心身症, ⑤心気症的こだわり, ⑥強迫性障害, ⑦摂食障害, ⑧境界性パーソナリティ障害, を挙げた. これら精神医学的な各症状においては, 症状の表層にのみ関心を奪われ, 背景の発達障害的問題に配慮した支援を行わなければ, 難治化・遷延化の危険がある. 診断においては, 常に成育史に関心を払い, 患者の症状がその疾患の典型病像とどのように異なっているかを細心の注意をもって吟味する必要がある.</p>