著者
村上 剛規
出版者
文化学園大学・文化学園大学短期大学部
雑誌
文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要 (ISSN:24325848)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.37-45, 2021-03-31

本研究は人体の上肢の形状と衣服製作で使用される袖パターンに着目し、その関係について相互性を見ることを目的とする。まず上肢の形状を知るために成人女子を被験者とし、写真計測を行った。その結果、上腕部の振れはほぼなく、前腕部で振れていることと、その振れには個人差があることがわかった。このことを踏まえ、以下のような試着実験を行い、上肢に適合する袖パターンの形状を検討した。①被験者に肘までの長さの袖のジャケットを着用させ、撮影した写真の観察を行った結果、上腕部は適合していることがわかった。次に②被験者に基本型となる長袖のジャケットを着用させ、撮影した写真の観察を行った結果、袖に皺が見られる被験者がいた。この皺は袖の振れに前腕部の振れが合わないために見られたということが推察された。そして③半袖のジャケット着用時の前腕の振れを基に被験者を分類し、それらに合わせて前腕部の振れを変えたジャケットを着用させ、撮影した写真の観察を行った。その結果、袖に皺は見られず、適合することがわかった。これらの実験から、上肢に適合する袖パターンは、1つではなく、上肢の形状に合わせて複数種類が必要であることがわかった。