著者
村井 恒之
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.29-33, 2013

訪問看護部に所属してから、特定看護師として介入した、褥瘡を有する在宅療養者A氏の事例を報告する。A氏は40年前より下半身不随で、蜂窩織炎により入院中に、右臀部に褥瘡を形成したが、本人と妻の希望により、褥瘡が治癒しないまま退院することとなった。退院までには、本人と妻を含めた多職種間での連携会議を開催し、創処置の統一やリハビリ導入を行った。退院後は医師の包括的指示の下、デブリードマンや創傷被覆材の選択、薬剤の調整・変更を行った。創部の画像を見てもらいながらA氏と妻の訴えを傾聴し、肯定的アプローチを実践することでA氏の治療への参加が促され、退院後37日目に褥瘡は治癒した。特定看護師が、療養者と家族の治療参加を促し多職種と連携・協働しながら、局所療法、除圧、栄養管理を行うことで、在宅における褥瘡管理が可能となることが示唆された。