著者
村山 幸栄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.12-14, 1967-03-25

新潟県には, 平年でも積雪2m, 融雪期4月中〜下旬の山間多雪地が少なくない。これらの地域には第1表に示すように豪雪とか, 春季降雪あるいは春季異常低温などが原因して自然融雪期が5月上〜中旬におよぶ年もしばしば訪ずれ, 稲作の作期や作業手順を狂わせ作柄を不安定にしている。このように甚しく融雪遅延が予想される年には, 散土, 雪割等の人工消雪法が行なわれるが, 最も実用化されている散土消雪も, 土取場がないとか, 土取場の地理的関係がわるい等の制約が多く, また, 散土消雪の効果は1週間前後しかないので, 広範囲な普及はみられない状況にある。たまたま, 昭和40年春季降雪と低温による融雪遅延が動機となり, 41年に県農地部, 農林部の企画のもとに流水により消雪をはかる"無雪苗代施設"の設置が試みられた。ここに, その概要を紹介する。筆者は企画に参画し, 成績の取まとめに当っただけで, 現場における調査は, 土地改良区職員および農業改良普及員によってなされたものであることを附記し, その労に多謝するものである。