著者
白倉 治一 国武 正彦
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.35-37, 1965-03-15 (Released:2017-08-02)

1 本研究は水稲品種の遺伝的特性を永年維持する目的で, 原々種株の保存ならびに増殖法について検討したものである。2 秋季の株上げ予定株は稈基部の蓄積澱粉量が多いと考えられるものが再生力が強く, 穂肥の過用または乳熟期ころの早刈り, 刈取り後温室への早期搬入が有効である。3 温室内の温度は, 10℃以下になると株枯死の危険が伴なう。4 再生茎の出穂期を揃え, 増殖率を高めるには全期終夜照明よりも, 2月始めころから1ヵ月間の8時間曝光短日処理を行なうがよい。5 温室内では元株から生じた再生茎を株分けして移植しなおせば, 増殖倍率が高まる。
著者
安部 五一 中川 清 児玉 三郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-54, 1966-03-25
被引用文献数
1

1 本報告は佐渡郡金井町新保川附近の水田に大発生しているオオアカウキクサについて, 昭和37年〜39年に水稲に対する被害および防除について行なった試験結果をまとめたものである。2 繁殖は極めて旺盛で, 湿田等で15℃〜20℃の適温下では年2回の繁殖最盛期を示す。3 稲に対する被害は, 温度較差を少なくし, 密度が増加すると稲の生育初期に倒伏させ, その後は穂数を減らす。また, その他競合による障害を及ぼすなど, 稲の生育を害し減収の大きな原因となる。4 防除にはPCPを主成分とする薬剤が顕著な殺草効果を示したので, 本試験は主にPCP25%粒剤について実施した。その結果, オオアカウキクサの発生初期に水深を4cm以下にして, 10a当りPCP製品で4kg以上散布すれば, 防除が可能なことが認められた。
著者
国武 正彦 宗村 明次
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.45-47, 1965-03-15

1 本報告は粒厚別米選法を確立するために行ったものである。2 品種の粒厚別重量頻度にはそれぞれ特徴があるが, これは環境条件によりいくらか異なる。しかし粒厚別千粒重および生米となる粒厚の限界は品種別に定まっている。3 本県の品種は, 越路早生など小中粒種は線間隙1.8mm, 千秋楽など大粒種およびもちなど円粒品種は1.9mm, 酒米五百万石は2.0mmで生米と死米を生米のロスもなく米選できる。4 すなわち3枚の取替網付固定平面型米選機により品種別に粒厚別米選が可能になった。
著者
村山 幸栄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.12-14, 1967-03-25

新潟県には, 平年でも積雪2m, 融雪期4月中〜下旬の山間多雪地が少なくない。これらの地域には第1表に示すように豪雪とか, 春季降雪あるいは春季異常低温などが原因して自然融雪期が5月上〜中旬におよぶ年もしばしば訪ずれ, 稲作の作期や作業手順を狂わせ作柄を不安定にしている。このように甚しく融雪遅延が予想される年には, 散土, 雪割等の人工消雪法が行なわれるが, 最も実用化されている散土消雪も, 土取場がないとか, 土取場の地理的関係がわるい等の制約が多く, また, 散土消雪の効果は1週間前後しかないので, 広範囲な普及はみられない状況にある。たまたま, 昭和40年春季降雪と低温による融雪遅延が動機となり, 41年に県農地部, 農林部の企画のもとに流水により消雪をはかる"無雪苗代施設"の設置が試みられた。ここに, その概要を紹介する。筆者は企画に参画し, 成績の取まとめに当っただけで, 現場における調査は, 土地改良区職員および農業改良普及員によってなされたものであることを附記し, その労に多謝するものである。
著者
細山 利雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.14-16, 1967-03-25

新潟県魚沼地域の根雪日数は平年で120日, 豪雪年は160日にも及ぶ。また, 最深積雪量は平年で230cm, 豪雪年には430cmを記録したことがある。消雪期は, 北魚沼郡堀之内町で平年4月15日前後であるが, 少雪年は3月20日, 豪雪年は5月4日に及び, 播種期に1m以上の積雪のあることもまれではない。また年による消雪期の差異につれて作季が移動し, 作柄を不安定にしている。本試験は昭和35年〜37年に山間豪雪地の堀之内試験地において, 主要品種について移植期と生育収量の関係を明らかにするために行なったものである。
著者
佐藤 信之助 吉岡 昌二郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.11-14, 1972-03-25

1.13種の寒地型イネ科牧草類を用いて生育特性を比較し, 主として北陸の低標高地帯における季節生産性について検討した。2.2カ年合計収量はトールフェスク>オーチャードグラス>リードキャナリーグラスの順に上位を占めたが, 平衡的な季節生産性の点ではトールフェスク, リードキャナリーグラスがすぐれていた。3.上位3草種について検討した結果, 季節的な収量の変動は単位面積あたり茎数および一茎重の変動と関連しているが, それぞれ草種毎に違いが認められ, 特にリードキャナリーグラスの盛夏以降の収量が高い水準で維持されたのがいちじるしく特徴的であった。4.その他の草種では夏枯れの影響がいちじるしく, そのことが季節生産性および維持年限に大きく影響するものとみられた。5.各草種とも雪害による直接的な被害は軽るく, むしろ融雪後の急激な生育の点で季節生産性に大きく影響するものと思われる。
著者
内藤 徳男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会北陸支部会報 (ISSN:0388791X)
巻号頁・発行日
no.3, pp.17-19, 1967-03-25
被引用文献数
1

昭和33年7月23日〜25日に300mmにおよぶ集中豪雨があり, 水田約2, 000haが浸水または冠水した。その中でも福島潟周辺では浸水日数が7〜10日, または10日以上におよび, 新発田川, 太田川流域の旧佐々木村曽根では冠水日数が5日におよんだ。当時, この地帯には早生品種60, 中生品種30, 晩生品種10%が作付されていた。元肥はN成分量10a当り8kgが30〜35%, 5〜6kgが60〜70%, 3〜4kgが10%, 中間追肥は6月10〜15日に0.5〜1.5kg施したものが20%あり, また穂肥は出穂前20〜15日前, すなわち中生コシヒカリ以前の品種に対し1.5〜2.0kg施したものが多く, 一般に多肥の傾向にあり, 且つ7月中旬までの気象が高温に経過したため初期の生育がよく, 過繁茂軟弱な様相を呈した水田が多かった。冠水時期は, 早生品種では出穂10〜15日前, 中生品種では25〜20日前, 晩生品種では30日前にあり, 大部分のものが過度な穂肥を施した直後のために, 被害はいちじるしく多かった。当時, その被害の様相を明らかにするために, 冠水日数別, 稲の生育段階別に調査したのであるが, 昭和41年7月17日に再び水害をうけ, 当時の資料が被害の診断並に対策に益することが多かったのでここにとりまとめて報告したい。