著者
中崎 聡 村山 隆司 加藤 真一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.88-94, 2011-06-30 (Released:2016-01-30)
参考文献数
17

目的:メトトレキサートと低用量ミゾリビンパルス療法併用の有効性と安全性について後ろ向き研究にて検討した. 対象:2006年12月から2009年6月までの間に,メトトレキサート効果不十分例に低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用したRA患者37名を対象とした. 方法:メトトレキサート内服時,同時にミゾリビン1回100mgから始めて,症例によっては150mgまで増量した.効果判定はCRPによる4項目DAS28(DAS28)のEULAR改善基準で行なった.DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例のLUNDEXを計算した.また,ミゾリビンが有効だった一症例を示した. 結果:最終観察日のミゾリビン1回投与量は,100mg2名(5%),150mg35名(95%)であった.評価できた症例の内,DAS28のEULAR改善基準のmoderate response以上を満たしている症例は,1か月32名中28%,2か月36名中36%,3か月22名中36%,4か月20名中35%,5か月14名中43%,6か月14名中43%であった.LUNDEXは1か月24%,2か月35%,3か月25%,4か月22%,5か月20%,6か月21%であった.有効例としてDAS28を悪化させずに,プレドニゾロン10mg/日を3mg/日に減量できた症例を提示した.副作用中止例はなかった. 結論:メトトレキサートに低用量ミゾリビンパルス療法を追加併用することは,安全に実施できており,メトトレキサート効果不十分で生物学的製剤使用不可例に対する治療の選択肢の一つであると考えられた.