著者
村田 希久 山本 公子 池田 喜美子 田中 淑子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.355-360, 1971-09-20 (Released:2009-11-16)
参考文献数
5

米タンパク質と小麦タンパク質の栄養価を白ネズミの飼育実験によって比較するに当り, 両食品につき低タンパク質レベル (米タンパク質レベル), 中程度タンパク質レベル (小麦タンパク質レベル) と高タンパク質レベルの飼料を調製するため, 白米を細菌α-アミラーゼ処理により, でん粉の1部を除いて, タンパク質濃縮米粉 (凍結乾燥粉末タンパク質26.9-33.9%) を用意し, 小麦グルテン (タンパク質69.4%) と小麦でん粉, 米, 小麦粉などを配合して, 各タンパク質レベルの飼料を調製し, 幼白ネズミを20日間自由食で飼育し, タンパク質効率比 (PER), 生物価 (BV) などを求めた。その結果, 米のPER1.60と1.75平均1.67, 小麦のPER0, 62と0.96平均0.79で, 米の価を100とすると小麦では47 (文献値100: 79) で, BVは米63.1に対し小麦49.1でそのRatioは100: 78 (文献値100: 89) でいずれも文献にみられるよりも米タンパク質と小麦タンパク質の栄養価にかなり大きな開きがあり, 米タンパク質は小麦タンパク質に比し, 従来考えられていたより一層高い栄養価を有することを認めた。 また米, 小麦群とも摂取窒素量と体重増加量とはよく相関し, 体重増の傾斜は米群で体重増量10.24g/摂取Ng, 小麦群で6.74g/Ngでありその比は100: 66であった。