著者
榎木 勉 村田 秀介 内海 泰弘
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.198-201, 2020-06-01 (Released:2020-09-16)
参考文献数
26

2015年5月に九州大学北海道演習林内のカラマツ人工林に発生した山火事跡地において,焼失したミヤコザサの回復過程と,林床における木本および草本植物の更新動態を調査した。2015年7月,山火事跡地(山火事区)において山火事後に回復したミヤコザサの被度,稈高,バイオマスは,隣接する非焼失地(対照区)のそれぞれ83,70,38%であった。2016年7月,2017年7月とも山火事区のミヤコザサの被度,稈高,バイオマスは対照区と有意な差がなかった。2016年に山火事区の林床に出現した草本・木本の種数は対照区の2倍近くあった。出現種数は2017年も同様であったが種組成は変化した。山火事区と対照区の群集の違いをPERMANOVAにより検定した結果,山火事区では山火事発生後に対照区と異なる組成の植物群集が形成され,その後2年間は維持されたと考えられた。