著者
村田 竜樹
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究
巻号頁・発行日
vol.18, pp.142-160, 2020

本稿は,技能実習生として来日し,地域の日本語教室に参加していた中国人技能実習生ジョさんのライフストーリーである。ジョさんがどのように実習生活における困難に対処してきたのか,その過程でどのように境界や価値観が変容したのか,そして技能実習生活に地域の日本語教室への参加がどのような意味を持っていたのかについて,ジョさんの語りから分析した。その結果,ジョさんは実習生活の中で,「子どもみたい」なわがままな自分から,価値観の相違を前提とし同じ目的に向けて理解し合う「大人しい」自分へと変容していた。また,ジョさんは職場で生じる問題に能動的に関与しており,その過程は,分断された職場を変革していく水平的学習の過程であった。その中で,地域の日本語教室と職場間の越境は「一人の人間として」他者と関わろうとするジョさんの実習生活そのものを支えており,職場を変革する水平的学習を支えるものであったことが明らかになった。
著者
村田 竜樹
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.142-160, 2020-12-28 (Released:2021-04-14)
被引用文献数
1

本稿は,技能実習生として来日し,地域の日本語教室に参加していた中国人技能実習生ジョさんのライフストーリーである。ジョさんがどのように実習生活における困難に対処してきたのか,その過程でどのように境界や価値観が変容したのか,そして技能実習生活に地域の日本語教室への参加がどのような意味を持っていたのかについて,ジョさんの語りから分析した。その結果,ジョさんは実習生活の中で,「子どもみたい」なわがままな自分から,価値観の相違を前提とし同じ目的に向けて理解し合う「大人しい」自分へと変容していた。また,ジョさんは職場で生じる問題に能動的に関与しており,その過程は,分断された職場を変革していく水平的学習の過程であった。その中で,地域の日本語教室と職場間の越境は「一人の人間として」他者と関わろうとするジョさんの実習生活そのものを支えており,職場を変革する水平的学習を支えるものであったことが明らかになった。