著者
東 美幸 松本 羊子 亀井 勇統
出版者
佐賀大学
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.21-28, 2003-07-31

紫外線照射により引き起こされる肌の色素沈着(シミ・ソバカス)を予防、改善する美白化粧品の開発を目的とし、マウスB16メラノーマ細胞を用いたメラニン合成阻害試験において、強いメラニン合成阻害活性を示した紅藻カイメンソウ(Ceratodictyo spongiosum)の水溶性画分について、各種クロマトグラフィーによる活性物質の分離・精製を試みた。活性物質の抽出法の検討の結果、カイメンソウは、オートクレーブ熱水抽出において、最も高い活性を示した。また、カイメンソウの水溶性画分は、既知のメラニン合成阻害物質であるアルブチン、アスコルビン酸並びにコウジ酸よりも明らかに高いメラニン合成阻害活性を示した。さらに、限外ろ過の結果から、既知のメラニン合成阻害物質が比較的低分子であるのに対し、紅藻カイメンソウ由来のメラニン合成阻害物質は、高分子であることが示唆された。分離した部門精製メラニン合成阻害物質もまた、比較に用いた既知物質アルブチン以上のメラニン合成阻害活性を示した。以上のことより、紅藻カイメンソウ由来の水溶性活性物質は、新規美白剤としての応用に有望であることが示唆された。