著者
小川 剛史 亀井 勇統
出版者
佐賀大学
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-29, 2005

本研究では、一度形成されたシミ・ソバカスを消し去る新規美白化粧品の開発を目的に、2004年4月から2005年1月にかけて採取した海水、河川水、海底泥、および海洋生物から分離した微生物を対象にメラニン分解活性のスクリーニングを行った。その結果、屋久島沖にて採水した表層水並びに三重県沖にて採水した水深4,000mの深層水からメラニン分解菌と思われる菌を2株見出した。次に、これらの微生物が有するメラニン分解活性を、液体培地を用いて評価したところ、TM11-4000-1株がメラニン分解活性を有することが示唆された。また、顕微鏡下における形態観察によりTM11-4000-1株をPenicillium sp. として同定した。さらに、TM11-4000-1株より調製した組酵素を用いてメラニン分解活性を評価したところ、わずかな活性を示した。
著者
小野 豪朗 寺田 竜太 奈良 武士
出版者
佐賀大学海浜台地生物環境研究センター
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-76, 2003-12 (Released:2011-03-05)

原虫トリパノソーマ・クルーズが引き起こすシャーガス病は有効な治療法がなく、ラテンアメリカにおいて公衆衛生上問題となっている。そこで、我々は、新規シャーガス病治療薬の開発を目的に、日本沿岸より採取した計341種の海藻のMeOHならびにPBS抽出液を対象にして、組換えトリパノソーマ・クルーズジヒドロオロト酸脱水素酵素(rTcDHOD)に対する阻害活性のスクリーニングを行った。その結果、6種の海藻のMeOH抽出液ならびに3種の海藻のPBS抽出液に20%以上のrTcDHOD阻害活性が観察された。中でも、褐藻イシゲのMeOH抽出液は42%もの高いrTcDHOD阻害活性を示し、試験した30~121℃並びにpH3~10域で安定であることが明らかとなった。また、その抽出液は濃度依存的なrTcDHOD阻害活性を示し、正常ヒト線維芽細胞(HDF)に対して250μg/mlまでの濃度おいて毒性は観察されなかった。これらのことより、褐藻イシゲには新規シャーガス病治療薬の開発に有望なrTcDHOD阻害物質の存在が明らかとなった。
著者
東 美幸 松本 羊子 亀井 勇統
出版者
佐賀大学
雑誌
Coastal bioenvironment (ISSN:13487175)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.21-28, 2003-07-31

紫外線照射により引き起こされる肌の色素沈着(シミ・ソバカス)を予防、改善する美白化粧品の開発を目的とし、マウスB16メラノーマ細胞を用いたメラニン合成阻害試験において、強いメラニン合成阻害活性を示した紅藻カイメンソウ(Ceratodictyo spongiosum)の水溶性画分について、各種クロマトグラフィーによる活性物質の分離・精製を試みた。活性物質の抽出法の検討の結果、カイメンソウは、オートクレーブ熱水抽出において、最も高い活性を示した。また、カイメンソウの水溶性画分は、既知のメラニン合成阻害物質であるアルブチン、アスコルビン酸並びにコウジ酸よりも明らかに高いメラニン合成阻害活性を示した。さらに、限外ろ過の結果から、既知のメラニン合成阻害物質が比較的低分子であるのに対し、紅藻カイメンソウ由来のメラニン合成阻害物質は、高分子であることが示唆された。分離した部門精製メラニン合成阻害物質もまた、比較に用いた既知物質アルブチン以上のメラニン合成阻害活性を示した。以上のことより、紅藻カイメンソウ由来の水溶性活性物質は、新規美白剤としての応用に有望であることが示唆された。