著者
東川 正宗
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.60-65, 1989-03-31 (Released:2011-03-09)
参考文献数
15

N4-behenoyl-1-β-D-arabinofuranosylcytosine (BHAC) はara-Cの脂溶性の誘導体であり, 広く臨床で使用されている.その薬理学的な作用機序を明らかにするため, (cytosine-2-14C) BHACと (acyl-1-14C) BHACの2種類の14C標識したBHACとP388マウス白血病細胞と培養し, DNAをフェノール法により抽出後, nuclease P1でnucleoside monophosphateに分解し高速液体クロマトグラフィ法にて分析した。 (cytosine-2-14C) BHACと培養したP388細胞から抽出したDNAの放射性活性はara-CMPとして認められたが, (acyl-1-14C) BHACと培養した場合には, 抽出したDNAに放射性活性は認められなかった.一方, 酸可溶性分画の主たる放射性活性はara-CTPとして認められた.以上の結果よりBHACは直接リン酸化されてN4-behenoyl-ara-CTPを形成するのではなく, 主としていったんara-Cに変換後ara-CTPを形成しDNAに組み込まれると考えられた.