著者
東条 佳奈
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.16-32, 2014-10-01

本稿では、現代語の助数詞のうち、「1世帯」の「世帯」のように、数詞と切り離して単独の名詞として用いられるものを「名詞型助数詞」と呼び、新聞より抽出した語例を先行研究と異なる観点で分類し、以下の類型があることを示す。名詞型助数詞はまず、容器となる名詞を基準に量を測る「容器型助数詞」と名詞の性質を残す「非容器型助数詞」に区分でき、後者は、前接する数の制限に関する「可付番性」の有無により「準助数詞」と「擬似助数詞」という二つの下位類にさらに分けられる。準助数詞は、数を積み上げて数えることができ、意味的にも抽象的関係を示す語が多く、従来の助数詞に準ずる存在として体系を補うものである。これに対し、擬似助数詞は、文章の中で臨時的に数詞と結びつく見かけ上の(数え上げられない)助数詞であり、具体性の高い名詞として文脈照応の機能をもつ傾向がある。可付番性の有無という分類基準は、先行研究の分類をも適切に解釈する観点となる。
著者
山崎 誠 相良 かおる 小野 正子 東条 佳奈 麻 子軒 Makoto Yamazaki Kaoru Sagara Masako Ono Kana Tojo Tzu-Hsuan Ma
出版者
国立国語研究所
雑誌
言語資源活用ワークショップ発表論文集 = Proceedings of Language Resources Workshop
巻号頁・発行日
no.4, pp.161-168, 2019

会議名: 言語資源活用ワークショップ2019, 開催地: 国立国語研究所, 会期: 2019年9月2日−4日, 主催: 国立国語研究所 コーパス開発センター本発表では、電子医療記録に含まれる実践医療用語の語構成を明らかにするために、独自に設計した語構成要素への分割とそれに対する意味ラベルの付与を行い、意味ラベルによる語構成のパターンを調査した。調査対象は、ComeJisyoSjis-1(111,664語)から、『分類語彙表 増補改訂版』に収録されている語を含む約7,000語から抽出した1,000語である。これらを短単位よりやや長めの語構成要素に分割し、意味ラベルを付与した。意味ラベルは、石井(2007)の複合名詞の語構造把握のための意味分類を参考にしたが、実践医療用語のために独自に設けたものも多い。分析結果から、以下のような点が明らかになった。(1)語構成要素数が2個と3個のものが全体の8割以上を占める。(2)意味ラベルは、「疾患」「身体部位」「状態」「症状」「医療行為」「時間」「生理」の7つで全体の約8割を占める。(3)意味ラベルは、語頭により多く出現するもの(「身体部位」「時間」)や語末により多く出現するもの(「医療行為」「症状」「障害」)などがあり、分布に偏りが見られる。