著者
林 明男 池田 直樹 東条 尚 山本 良二 多田 弘人
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.682-686, 2004-07-15
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

気管用ダブルルーメンチューブ使用により第2-5気管軟骨膜様部に損傷を来たした症例を経験したので報告する.症例は48歳女性.身長156cm, 体重48kg.右肺癌cT4N1M0に対し化学療法4コース施行後に右肺中葉切除及び右胸腔内温熱療法を施行した.挿管チューブは左用35Frダブルルーメンチューブ (ポーテックス社製ブルーライン・気管支内チューブ) を使用.挿管は容易であったが至適位置での固定が困難で, やむを得ずチューブを強く押し込んだ形で固定した.術中は左片肺換気を行い明らかな異常は認めず, 抜管後退室した.術後1日目に前胸部皮下気腫を認め増強傾向であったため術後2日目に胸部CT及び気管支鏡を施行.気管周囲に著明な縦隔気腫像を認め, 第2気管軟骨輪部を中心に膜様部が非薄化し裂傷が疑われた.同日緊急手術でこれを修復し, 初回手術後14日目に退院した.文献的考察を加え報告する.