著者
中川 浩一 東田 理恵 夏秋 優
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.489-490, 2022-12-01 (Released:2023-02-28)
参考文献数
3

患者:56 歳,女性主訴:右手背の色素斑現病歴:就寝中に何か右手がざわざわする感覚で目が覚めた。見るとカメムシが手の上にいたので,あわてて左手でカメムシを振り払った。カメムシは捕獲して家のベランダに放った。翌日になって淡い橙色の色素斑が手にみられたので受診した。現症:右手背に,カメムシの形に類似した淡い橙色の色素斑がくっきり残っていた(図 1 )。かゆみや痛みはなかった。周囲に炎症所見はなかった。カメムシ:患者に捕獲したカメムシの形状を,記憶をもとに絵を書いてもらった。本邦では普通種のクサギカメムシに似ていた(図 2 a)。診断と経過:患者の証言やカメムシの絵,色素斑の形状からカメムシ皮膚炎と診断した。色素斑は手洗いなどでは消えなかったが,2 週間ほどで自然に消退していた。この間,かゆみや痛みはなく,色素斑のみであった。