著者
松下 和通 新田 孝作 海上 耕平 多胡 紀一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.813-816, 2016 (Released:2016-12-27)
参考文献数
17

心不全は, 心臓のポンプ機能の低下に基づく水分の体内貯留が本態である. 最近, 一般人においては, 心収縮能低下を伴わない拡張障害によって惹起される心不全が約40%を占めることが報告されている. この病態は, hear failure with preserved ejection fraction (HFpEF) などの名称でよばれている. 背景因子としては, 高血圧, 糖尿病および肥満が重要であり, 高齢者や女性に多いのが特徴である. 透析患者は体液過剰を伴うため, HFpEFを合併しやすいと考えられるが, その頻度に関しては不明なことが多い. 拡張能の評価は, 心エコーや組織ドップラーにより行われる. 治療としては, 適切なdry weightの設定, 血圧の適正化, 心房細動のコントロール, 虚血性心疾患の治療などが施行されている.