著者
松下 延子
出版者
岐阜医療科学大学
雑誌
岐阜医療科学大学紀要 (ISSN:18819168)
巻号頁・発行日
no.1, pp.141-154, 2007-03
被引用文献数
1

先行研究で,「α波音楽とイメージ法を用いた簡易漸進的筋弛緩法,実施前・後の比較」により若干のリラクゼーション効果が確認できた。しかし,我々は日頃,日常の疲れやストレスを緩和するために,休息・睡眠等で自然に回復させる対処法は必然的で効果的である。そこで第一に,安静法に比べ筋弛緩法の方に効果が高いと仮定して比較する。第二に,眠気を催す,体温と体や手足の末梢が温かく感じる段階について効果を比較する目的で実験を試みた。対象は看護学生44名,主に女性である。効果測定はバイタルサインの客観的データーと気分や感じ方の主観的データーを分析した。結果,15分間の仰臥安静法で,最高血圧値・脈拍数・呼吸数や主観的データでも有意な低下が見られた。しかし,その後の簡易筋弛緩法ではさらに,呼吸数・体温の低下や「疲れている」という主観的データーはさらに低下が見られた。第二の比較では,安静後は体も手足もポカポカしていると感じる人が多く,リラクゼーション後は,体温は下がっても体は温かいと感じ,手足がポカポカしていると感じる人は減少した。つまり,休息・睡眠は活動が低下・停止した状態で身体の筋肉もかなり弛緩状態となり,共に筋肉を弛緩させる延長線上にあることで,意図的に筋肉を弛緩させる方に効果が高いことが示唆された。第二は,全身の筋肉を弛緩させることで熱の発生が抑えられるためと考えられた。