著者
松下 治
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.753-761, 1999-11-30 (Released:2009-02-19)
参考文献数
31

二種のガス壊疸起因菌Clostridium perfringens, C. histolyticumから計三種類のコラゲナーゼを精製した。それらの構造遺伝子を解析したところ,予想一次配列にセグメント構造(S1, S2, S3)が認められた。N末端側のS1には金属プロテアーゼに共通なモチーフ(HEXXH)が存在していた。C末端側のS2, S3には重複が認められ,酵素により重複パターンが異なっていた。C. histolyticumの酵素の一つColHを用いて構造活性相関の解析を試みた。N末端側のS1のみからなる組換え酵素が水解活性を示したので,S1は触媒ドメインを形成すると考えられた。単離C末端領域が不溶性コラーゲンに結合することから,この領域はコラーゲン結合ドメイン(CBD)を形成すると考えられた。CBDを用いて細胞成長因子をコラーゲンにアンカーリングし,局所で長時間作用させることができた。CBDの構造が新しい薬物送達システム(drug delivery system, DDS)の開発に応用できる可能性が示された。