著者
松井 孝彦 松井 千代
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.174, pp.45-55, 2019-12-25 (Released:2021-12-26)
参考文献数
16

平成26年4月から,日本語指導について,特別の教育課程を編成して実施することができるようになった。しかし,その後も小学校における取り出し授業では,在籍学級の教科補充学習が行われていることが多い。そこで,外国人児童に対して継続的な日本語指導を行うことを目的として,取り出し授業内における10分間多読を行うことを考えた。 第二言語の多読実践については英語教育においてその例が多く見られるが,日本語による小学生を対象とした実践例はほとんど見当たらなかった。 そこで,Matsui & Noro (2010) が英語多読の際に行っていた授業内10分間多読を参考にし,取り出し授業内における多読の実践デザインを考え,県内の三つの小学校にて日本語多読の実践を行った。 担当教員の支援方法は様々であったが,多読活動の時間を確保するためには,取り出し授業における継続的な日本語指導の必要性について在籍学級担任と相互理解を図り,教科補充に関する課題を調整する必要性があることが分かった。