著者
北島 正章 遠矢 幸伸 松原 康一 原本 英司 宇田川 悦子 片山 浩之 大垣 眞一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.361-370, 2008
被引用文献数
1

ヒトノロウイルスは、細胞培養系が確立されていないため、消毒処理に対する耐性について十分な知見が得られていない。本研究では、ヒトノロウイルスに近縁で細胞培養可能なマウスノロウイルスを用い、水道水中のノロウイルスに対する塩素消毒の有効性を検証した。マウスノロウイルスの塩素消毒耐性はポリオウイルスよりも低く、3mg/L・minの遊離塩素消毒で99.99%(410g) 以上不活化された。また、ヒトノロウイルスとマウスノロウイルスの遺伝子の残存率は同程度であった。これらの結果から、ノロウイルスの塩素消毒耐性は他の腸管系ウイルスと同等以下であり、十分な塩素消毒が施された配水システムにおいてはノロウイルスが感染力を保ったまま末端給水栓まで到達する可能性は低いことが示唆された。