著者
松原 廣司
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.263-286, 2006-11

本編は第46次南極地域観測隊夏隊行動の概要報告である.観測隊は総勢62名で構成され,このうち越冬隊は37名,夏隊は25名であった.他に夏隊に3名が同行者として参加した.2004年11月14日,観測船「しらせ」は晴海を出港し,観測隊は11月28日,航空機でオーストラリアに入り,翌日「しらせ」に乗船した.「しらせ」では海洋観測を実施しつつ,12月14日には氷縁に到着し,21日には昭和基地に接岸した.夏期間は,昭和基地への物資輸送,同基地での車庫,10 kW風力発電機建設,燃料移送管工事,昭和基地クリーンアップ4カ年計画の初年度作業などの基地作業を行った.輸送量は空輸,氷不輸送,パイプ輸送を含めて,980.8 tであった.昭和基地では,生物,海洋物理・化学定常合同の氷不観測,係留気球を用いたエアロゾル観測などが行われ,西の浦において浮体付GPSを設置し潮汐観測を行った.第46次隊では観測隊用小型ヘリコプター(川崎式BK117-B1)を持ち込み,プリンスオラフ海岸,リュツォ・ホルム湾の沿岸域における海洋物理・化学,測地,地質・古地磁気,地球物理,湖沼(生物・地学)の調査に活用した.「しらせ」は往復航路不で海洋観測を行うとともに,復路においては新南岩で湖沼調査を実施し,ケーシー湾・アムンゼン湾の露岩域などで地質・古地磁気調査を実施した後,シドニーに到着し,観測隊は航空機により3月28日,全員成田に到着した. 一方,第二期南極氷床深層掘削計画のもとノボラザレフスカヤ基地から航空機によりドームふじ基地に到着した掘削チームは,ドームふじ基地において深層掘削2年目を実施した.