著者
松好齋半兵衛 戯作
出版者
八文字屋八左衛門
巻号頁・発行日
vol.[2], 1800

劇書。拾遺2巻2冊。大伴大江丸の序に「みつのへいのとし」とあり(ただし、掲出本はこの部分欠)、享和2年(1802)刊とみられる。正編と同じく河内屋太助版。正編と同様に、絵入りの劇界百科全書をめざし、歌舞伎の劇場表の細見図もあるが、歌舞伎以上に操り(人形浄瑠璃)に詳しいのが特長。近世期の人形浄瑠璃についての絵画資料は、歌舞伎にくらべて乏しく、人形の構造や楽屋の様子については、本書がたびたび引用される。とりわけ人形の構造は、基本的に近現代に至るまで変わっていないことを示す、無二の画証となっている。(児玉竜一)(2016.2)
著者
松好齋半兵衛 戯作
出版者
八文字屋八左衛門
巻号頁・発行日
vol.[1], 1800

劇書。正編2巻2冊。刊記は「寛政十二庚申年」、跋文に「とりの初春」とあるので翌13年(1801)発売とみられる。河内屋太助版。奥付には八文字屋八左衛門の墨印があり、売り捌き店の証かとされる。世代交代期を迎えつつある寛政期の大阪歌舞伎を中心に、絵入りの劇界百科全書をめざしたもの。江戸で刊行された同趣の『羽勘三台図絵』(寛政3年[1791]刊、当館請求記号:245-193)『戯作訓蒙図彙』(享和3年[1803]刊、当館請求記号:W99-21)が知られるが、上方の諸習慣や知識を開陳している点で資料的価値が高い。上巻は道頓堀の芝居行事から稽古の様子を描き、下巻では楽屋や舞台裏の光景をみせる。著者の松好斎半兵衛が絵も担当し、当時の生写し流行を背景に、役者は似顔で描かれている。下巻末に人気役者13名を似顔で描き、自筆短冊の模刻が添えられている。(児玉竜一)(2016.2)