著者
松尾 慎治 松永 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.2, pp.572-573, 1999-03-08
被引用文献数
2

これまで光ネットワークでは主に一対一通信を効率よく転送することを目的に検討されてきた。それは現在ほとんどのアプリケーションが一対一通信を利用するものだからである。将来のインターネットの利用形態を考えたときネットワーク上に仮想空間(Cyberspace)ができ、その仮想空間上をユーザが自由に参加しデータを送受信できると言ったものがあげられる。このようなネットワークを考えた場合には一対多通信、多対多通信がトラフイックの多くの割合を占めてくる可能性がある。また、仮想空間を実現するための技術としては、容易にマルチキャストグループを形成でき、ユーザはマルチキャストグループへの参加/脱退や送受信が容易に行え、ネットワーク内のノードは膨大な量のマルチキャストパケットを処理でき、かつリンクはマルチキャストトラフィックの増大に対応できることが必要になる。このような背景から、これまでのユニキャスト主体のネットワークからマルチキャストを主体に考えたネットワークの研究が重要になってくると思われる。我々のグループではこれまで分配選択型WDMネットワーク(SECURE CAST)を提案して、マルチキャストに対する光によるブロードキャスト(Layer 1)の有効性を示してきた。しかしながら波長多重を用いたシステムであるSECURE CASTでは実現可能な波長多重数によりネットワークの規模が限られる。そこで、このような光によるブロードキャストネットワークを実際に敷設されている光ファイバ網の形態にそくしたリング網を用いて実現し、そのリング網を階層的に接続するスケーラビリティのある構成を提案する。このネットワークでのパケット転送は、パケットをフィルタリングしフオワーディングするノード(フィルタ)により行われる。