著者
松尾眞 砂子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.1059-1062, 1996-09-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
5
被引用文献数
3 7

おから(OC)をテンペ菌で発酵させたおからテンペ(OT)では,タンパク質の消化性が発酵によりどのような影響を受けるかを調べた.遊離アミノ酸量やタンパク質の分子量分布を比較すると,OTにはOCより遊離アミノ酸や低分子領域のタンパク質が多かった.この結果から,OTでは発酵によりタンパク質の一部が分解されていることが示唆された.また,OCやOTを唯一のタンパク質源とする飼料でラットを飼育し,消化残渣を光学顕微鏡で観察するとOTの盲腸内消化残渣ではタンパク質の存在が不明瞭であったが,OCの盲腸内消化残渣ではタンパク質を明確に確認できた.糞中消化残渣では両飼料ともタンパク質は全く確認できなかった.したがって、両タンパク質は完全に利用されるが,OTのタンパク質はOCのタンパク質より容易に消化されることが推察された.