著者
小林 英樹 松山 順子 三富 智恵 佐野 富子 川崎 勝盛 田口 洋
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.388-396, 2010-06-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
18

小児の咀嚼パラメーターが,学校給食の献立内容,特に主食の種類の違いによってどのような影響を受けるのかを明らかにする目的で,小学校6 年生の男児3 名,女児3 名の計6 名を対象に観察研究を行った。麺類,米飯類,パン類の主食毎に2 種類ずつ,計6 種類の給食について食事中の咀嚼をビデオ撮影し,咀嚼回数や時間などの各パラメーターの変化を比較検討した。さらに,保護者などの一般の方が,どのような学校給食の献立内容を望んでいるかを知る目的で,20 歳以上の170 名の成人を対象にアンケート調査を実施し,今後の給食内容のあり方についても検討した。今回対象とした給食では,主食が変化しても咀嚼パラメーターへの影響はほとんどないことが明らかになった。給食回数についてのアンケート結果では,米飯給食を週3~5 回実施するのがよいとする回答が全体の80%を超えていた反面,米飯以外の給食も週に0.5~1 回出して欲しいとの回答が約65%あった。米飯給食に比べると他の4 種の給食は栄養バランスに明らかな偏りがみられ,食育基本法の制定目標の趣旨から考えても,米飯給食を主体とするのは適切であろうと考えられる。一方,本研究結果から主食の種類の違いによる咀嚼への影響はほとんど考慮しなくてもよいことから,子どもの給食への楽しみと保護者の希望に配慮し,米飯以外の給食も月に数回は選択してもよいのではないかと考えられた。