著者
松岡 俊英 南 佐和子 尾谷 功 八木 重孝 矢田 千枝 帽子 英二 谷本 敏 梅咲 直彦
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.7-10, 2010

副角(Rudimentary uterine horn)は子宮奇形のなかでも最もまれな奇形とされる.副角妊娠はこの副角に妊娠したものであり,総妊娠数の0.0037~0.0082,総子宮外妊娠の0.24~0.6%にみられると報告されている.破裂時には大出血を起こし子宮摘出が必要となることもある.今回われわれは破裂前に診断し治療し得た副角妊娠の1例を経験したので報告する.症例は23歳の初産婦で無月経を主訴に前医を受診した.妊娠12週5日の健診の際に双角子宮あるいは子宮外妊娠の疑いにて当院に紹介となった.初診時に子宮体部は手拳大で圧痛はなくやや左側に傾いていた.経腟超音波検査では下腹部右斜位断像で肥厚した内膜を有する子宮体部を認めた.また左斜位断像にてCRL59.6mm(12週4日相当),心拍動のある胎児を含む腫瘤を認めた.子宮内腔と子宮内膜との連続性はなく,また腫瘤壁は子宮筋層とほぼ同様の輝度であり,腫瘤壁の厚さは約1.37cmであった.ダグラス窩には液体貯留は認めなかった.同日,子宮外妊娠疑いにて入院となった.妊娠13週4日にMRIを施行し,主角腔の子宮内膜とは完全に独立し連続していない副角腔内に胎児を認めた.以上より副角妊娠と診断し妊娠13週5日に開腹手術を施行した.左側子宮底部に破裂寸前の8cm大に腫大した副角を認め,表面から漏出するような出血を認めた.副角に切開を加え,胎児,胎盤を除去した後,副角を切除し創部を2層縫合し手術を終了した.術中に副角と主角の子宮内腔とに交通はみられなかった.〔産婦の進歩62(1):7-10,2010(平成22年2月)〕