著者
小湊 隆 松岡 正敏 Kominato Takashi Matsuoka Masatoshi
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 先進的軌道計測・決定技術に関する研究会論文集 = JAXA Special Publication: Proceedings of Advanced Orbit Measurement and Orbit Calculation Technologies (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.129-137, 2007-03-30

工学実験衛星「はやぶさ」はイオンエンジンによる惑星間飛行を行い、2005年9月に小惑星に到達した。イオンエンジンは従来の化学推進と比べ、推薬消費量が10分の1であり、1週間以上の連続運転が可能である。これにより日本の探査機による深宇宙探査の領域が広がり、日本の宇宙科学が目指す「トップサイエンス」を支える重要な推進系技術であることが示された。このイオンエンジンを使った惑星間軌道計画は従来の化学推進を使ったものとは大きく異なる。「はやぶさ」の軌道計画は連続噴射の単位を1週間として、毎週更新した。「はやぶさ」にとっては推薬、電力だけでなく、時間も重要なリソースの1つであった。このためイオンエンジンの噴射時間を捻出するために3週間おきの軌道決定パスは1ヶ月半おきに延長した。本稿では軌道計画と軌道運用が「イオンエンジンを使った惑星間航行」をどのように実現したか、また、今後のプロジェクトにおいてどう生かすかを述べる。資料番号: AA0063223020レポート番号: JAXA-SP-06-015