著者
松崎 浩司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.823-827, 1990-12-05
被引用文献数
3 4

黒鉛炉AASによるインジウムの定量に対する共存塩化物の干渉の抑制及びインジウムの測定感度の向上について検討した.ニッケルとアルミニウムの硝酸塩の共存はインジウムの原子吸収感度を増加させる.一方EDTAはインジウムと共存陽イオンに対してマスキング剤として作用し, 塩化物は塩化アンモニウムとして乾燥・灰化過程で容易に除去されるので, 塩化物干渉が抑制される.マスキングの効果は酢酸塩の添加においても認められた.ニッケルとアルミニウムの硝酸塩及びEDTAアンモニウム塩の混合物をマトリックス修飾剤として試料溶液に添加する方法により, 未添加の場合に比ベインジウム感度は20倍上昇し, 塩化物の許容共存量は400〜1000倍に増加した.