著者
松本 亮太
出版者
智山勧学会
雑誌
智山学報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.0361-0372, 2016 (Released:2019-02-22)
参考文献数
5

仏駄跋陀羅訳の『華厳経』を構成する一品に「宝王如来性起品」(以下『性起経』1) )がある。本品は、もともと独立した経典として成立していたものが、後に『華厳経』の中に組み込まれたものである。『華厳経』の一品を構成するふさわしく、華厳を貫く思想が具わっている。そして、「如来蔵思想2) 」や、中国における「華厳教学」を始めとして、後の仏教思想に大きな影響を与えたことでも知られた品である。本研究では特に『性起経』と如来蔵思想との関連性について考察をおこなった。殊に、高崎[1974]による研究成果3) が、本分野に関して重要な資料を提供している。