著者
中間 実徳 松本 治康 蘭守 竜雄
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.433-441, 1970
被引用文献数
1

乳牛25頭, 30例の関節炎につき, 臨床的に観察し, 治療を行ない, さらに23例については起炎菌の検索を行なった. また, 分離菌を用いて, ウシの感染試験を行ない次のような結果を得た.<BR>1. 30例の発症部位は, 飛節 (足関節) が16例 (53%) でもっとも多く, 次いで腕関節 (手関節) が9例 (30%) あり, 球節ないし蹄冠部は5例 (17%) であった.<BR>2.25頭の症状については, 40℃前後の発熱を伴い, 食欲不振や泌乳量の低下などの全身症状を呈したものが15頭 (60%) あり, 局所症状に止まったものは10頭 (40%) であった.<BR>3.これらを治療の結果, 治癒したと判定されたものは30例中22例 (73%) あり, 再発したもの2例, 廃用6頭であった.<BR>4. 細菌学的検査の結果, <I>Cory.pyogenes</I>のみ分離されたものが11例 (48%), <I>Cory.pyogenes</I>とその他の菌 (Streptococcus, Staphylococcus, <I>E.coli</I>, Proteus) の混合感染を認めたものが3例 (13%), Streptococcusのみのものが2例 (9%), 菌の検出されなかったものが7例 (30%) あった.菌の検出された16例のなかで, <I>Cory.pyogenes</I>が関与していた例は14例 (87.5%) であった.<BR>5.今回分離した<I>Cory.pyogenes</I>を乳牛2頭を用いて関節に接種試験し, 2頭とも実験的に関節炎を発症させ得た.また, 接種した関節から接種菌と同じ菌を分離できた.