著者
松本 泰祐 田島 洋 江口 辰哉 平田 正信
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.163-169, 1980-06-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

腺癌の予後は実測腫瘍径の大小によらず, その腫瘍の集束性変化の強さによって考えられるべきであるとする訂正腫瘍径の概念は腺癌の予後がTNM分類と相関しないという問題点にある程度解答を与えたと考える.しかし, 腺癌全般にこの概念が適合するかは問題である: そこで腺癌を亜型に分類し ((1). bronchioloalveolar type,(2). bronchial surfacetype,(3). bronchial gland type,(4). mixed type,(5). undetermined type) 臨床病理学的に (1) (2) (3) を主に検討した. (1) は発育, 進展の一方において集束性変化を来たす. (2) (3) は圧排性進展が主体であるという結果を得た.訂正腫瘍径の概念はbronchioloalveolartypeとその類縁のmixed typeには妥当と考えられるが (2) (3) の把握には不充分であると思われる.