著者
川口 義樹 石 志紘 島田 敦 大石 崇 磯部 陽 松本 純夫
出版者
日本内視鏡外科学会
雑誌
日本内視鏡外科学会雑誌 (ISSN:13446703)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.215-219, 2012-04-15

◆要旨:慢性腹痛の原因と考えられた移動性盲腸に対して腹腔鏡下盲腸固定術を行い良好な結果を得たので,報告する.患者は26歳,女性.右下腹部痛を主訴に受診したが,CT検査,上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査では特に異常を認めなかった.小腸造影で移動性盲腸と診断され,腹痛の原因である可能性が高いと考えられた.その後も症状が持続,増悪したため,インフォームドコンセントのうえで腹腔鏡下盲腸固定術を施行したところ,腹痛は消失しQOLも改善した.移動性盲腸で自験例のように腹痛を伴い,内科的治療が困難な場合には腹腔鏡下盲腸固定術は低侵襲かつ有効な術式と思われた.
著者
尾本 健一郎 大石 崇 磯部 陽 松本 純夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.733-736, 2014-03-31 (Released:2014-09-29)
参考文献数
13

原発性腹膜癌の初発症状は多量の腹水貯留による腹部膨満などが多く,腸閉塞症状はまれである。今回,癒着性腸閉塞として加療されていたが手術を契機に診断された1例を経験した。症例は71歳女性。左付属器切除術,子宮膣上部切断術および2度の腸閉塞歴がある。嘔吐,右下腹部痛で当院受診。CT画像で腸管の拡張がみられ,石灰化が目立っていたが腹水は少量であり,あきらかな腫瘤を指摘できなかったことから癒着性腸閉塞の再発として入院となった。保存的加療されていたが,全身状態悪化のため第5病日に手術を施行した。回腸約40cmが一塊となっており,後腹膜と強固な癒着を呈していた。小腸部分切除術を施行した。術後第40病日に軽快退院。病理診断で卵巣漿液性乳頭状腺癌と類似し,原発性腹膜癌と診断した。漿膜面の腹膜播種による硬化から腹膜癌が腸閉塞の原因と考えられた。