- 著者
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露木 理紗子
中島 菜恵子
松村 扶佐
鈴木 啓一
飯田 文子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
- 巻号頁・発行日
- pp.148, 2012 (Released:2012-09-24)
【目的】和牛肉のおいしさには脂肪中の脂肪酸組成が関与し、特にオレイン酸を含む一価不飽和脂肪酸(以下、MUFA)割合が高いものは食味特性が優れ、枝肉の取引価格に影響を与えている。そこで、MUFA割合が牛肉の食味特性へ与える影響について官能評価を行い、比較検討した。【方法】牛肉脂肪中の脂肪酸組成の明らかなBMS№4・7・9の仙台黒毛和牛54頭サーロインについて、8段階評価尺度での官能評価を訓練パネル10名で行った。うま味の評価では、香りの混入を避けるためノーズクリップを使用し行った。1㎝厚さにスライスした牛肉を、200℃に温めたホットプレート上で表面60秒、裏面75秒加熱した。それを線維方向を統一し、3×4㎝に切り出し、順序効果をふまえ、9項目につき評価を行った。クッキングロスは、焼成前後の重量の損失を百分率で表した。また破断測定および理化学測定を行った。【結果・考察】官能評価の「風味の強さ」「うま味」において、MUFA割合間で有意な差がみられた(p<0.05)。重回帰分析による「総合評価」に寄与する項目は、「うま味」「良い牛くささ」の風味に関する項目で寄与率82.7%であった。官能評価項目の「うま味」とうま味に関わるアミノ酸やイノシン酸分析値との関連はみられず、アミノ酸・核酸成分以外に「うま味」の評価に関わるものがあると推察された。さらに、クッキングロスが高い肉は、破断測定値においても高い値を示す傾向があり、それは特に雌に顕著であることから、MUFA割合が高く筋線維が軟らかいとクッキングロスが増加し食感が悪くなるため、高すぎるものは好ましくなく、最適MUFA割合は59 %程度と結論づけられた。