著者
相川 雅之 松永 政司
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学工学部研究報告 (ISSN:02865262)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.133-146, 2005-02-21

二重らせんDNAをダイオキシン類や発癌性物質等の除去に活用するため,二重らせんDNAを鮭白子より抽出・精製する新技術開発の研究を行った。乳化状白子液中からDNA分子より大きな爽雑物を充分に除去した後に,低分子量の蛋白質あるいは分解されたアミノ酸類等とDNA分子とを透析膜により分画することで,純度が高くかつ高分子量の二重らせんDNAナトリウム塩水溶液を得た。さらに,この水溶液を塩化カルシウム水溶液と反応させることでDNAの沈殿を発生させる新しい精製方法を見出した。これにより,DNAナトリウム塩とDNAカルシウム塩の新しい製造方法が確立された。この製造方法により得られた二重らせんDNAナトリウム塩の純度は95%,DNAカルシウム塩は75%,二重らせんの割合は67%,また分子の大きさはナトリウム塩で10キロ塩基対(kbp;平均分子量660万),カルシウム塩では平均20kbpであった。この新しい製造方法は二重らせんDNAの大量生産を可能にし,かつ大幅なコストダウンをもたらすものと考えられる。