著者
都能 和俊 松田 恵治
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-10, 2022-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
14

目的:頭部外傷CT検査における2D画像と3D画像の頭蓋骨骨折に対する診断能および読影時間の比較を行い,それぞれの画像の有用性を検証する。方法:頭部外傷で外傷性頭蓋内出血ありとCTで診断された104症例を対象とした。厚さ2mmのaxial像とcoronal像を2D画像として作成し,VR,SMIP,ray-summationを3D画像として作成した。診療放射線技師3名と放射線科医師1名による読影を行い,2D画像と3D画像の感度,特異度,読影時間,骨折の変位量を算出した。結果:2D画像と比較して3D画像は感度に関しては向上,特異度に関しては個人差が生じたが,診断能に有意差はなかった。2D画像,3D画像で見逃された骨折は変位量が少ない傾向にあったが,同一症例で2D画像と3D画像を使用すれば骨折を見逃すことはなかった。3D画像は2D画像と比較して有意に読影時間が短縮した。結論:2D画像と3D画像で見逃される骨折は異なり,高い診断能を得るには両方の画像を使用する必要がある。