著者
松田 晧 山田 知代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.241-244, 1965-09-30 (Released:2010-03-26)
参考文献数
5

ゼラチンは, 動物の皮および骨の結合組織の重要成分であるコラーゲンから非可逆的加水分解過程により作られるタンパク質である。ゼラチンに深く接したことのない人の中にはゼラチンを一定の組成, 単一な性質を有するタンパク質と考えている人が多いが, 実際に食品に用いられているゼラチンは, 上記の実験結果より明らかなように化学組成は一定せず, また物理的性質も一様でない。温湯に溶解したとき, 無臭で透明度のよいゼラチンは, 粘度, ゼリー強度とも概してよいが, 水分, 灰分が少なくタンパク質含量が多いとはいえない。ただ一般に物理的性質の中ではゼリー強度, 化学組成の中では灰分含量が品質を示す目安になるといえる。pHの影響は, 粘度とゼリー強度とで多少異なり, 粘度はpH 4.7より7の間, ゼリー強度はpH 6より8の間において最も高い。フルーツゼリーなどのように酸性域でゼラチンを使用することが多いが, 酸度が強まると粘度もゼリー強度も急速に低下する点は特に注意を要することである。