- 著者
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高松 泰行
松田 直美
饗場 郁子
- 出版者
- 日本神経治療学会
- 雑誌
- 神経治療学 (ISSN:09168443)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.1, pp.33-37, 2018 (Released:2018-06-12)
- 参考文献数
- 17
姿勢保持障害は進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)の主要症候であるが,その特徴について詳細に検討した報告は少ない.本研究では,PSP患者における静止立位時の重心動揺と姿勢保持障害の特徴について,健常高齢者と比較,検討した.対象はPSP患者21名,健常高齢者25名とした.年齢,性別,body mass index(BMI),静止立位時の重心動揺を評価した.PSPは,発症からの罹患期間,modified Rankin scale(mRS),進行性核上性麻痺評価尺度(PSP rating scale:PSPRS)項目V及びVI,pull testを評価した.重心動揺検査の結果,PSPと健常高齢者との間に有意差を認めた項目は,外周面積,単位面積軌跡長,前後方向動揺平均中心変位であった.PSPにおいて,pull testと相関を認めた項目は,罹患期間,mRS,PSPRS VI,外周面積であった.以上より,PSPは健常者に比べて,後方重心傾向が強く,静止立位バランスが不安定であり,単位面積軌跡長が低値であるという特徴が示された.また,pull testは疾患の進行度,機能自立度を反映しており,静止立位時のバランス能力が関係していることが示された.