著者
松野 勝弘 李 七雨 辻 三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.1591-1600, 1994-08-25
被引用文献数
66

本論文では,物理モデルであるポテンシャルネットとKL展開を組み合わせた顔表情認識の手法について述べる.ポテンシャルネットは,ノードが2次元グリッド状に相互にばねで連結された構造をもつ.画像からの力によって各ノードが顔器官の特徴に移動するためネットは変形し,変形したネットの形状には顔の特徴が反映されている.ポテンシャルネットにより求めた高次元の特徴ベクトル空間から,認識に有効なより低次元の特徴ベクトル空間を構成するために,照合パターンの特徴ベクトルの集合をKL展開して正規直交基底を求める.次に,求めた正規直交基底で表現される低次元のカテゴリー空間を構成し,この空間で入力パターンと照合パターンの距離を求め,最小距離判別法により認識を行う.本手法を未知の人物に対する識別能力,照明条件変動に対する耐久性,位置ずれに対する安定性の観点から評価し,その有効性を示した.