著者
森脇 愛絵 松﨑 政代 中井 佳奈 住友 陽菜
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.73-82, 2020-09-30 (Released:2020-12-12)
参考文献数
36

目的:本研究では,健康な産後の女性の疲労感に対する運動プログラムの影響をランダム化比較試験(randomized controlled trial; RCT)のシステマティックレビューによって明らかにすることを目的とした。方法:データベースは,MEDLINE,CINAHL Plus,The Cochrane Central Register of Controlled Trials,Web of Science,医学中央雑誌を用い,全期間を検索した。採用基準は,1)褥婦を対象としたRCTを実施,2)介入内容が産後の運動,3)アウトカムに疲労を測定する尺度が含まれている,4)日本語または英語の論文であること,のすべてを満たすものとした。除外基準は,産後うつ病と診断された褥婦を対象としたものとした。結果:論文62編が検索され,採用基準に合致した6編を対象とした。運動による疲労軽減効果が示されたのは3編であった。しかし,バイアスの評価・検証を行った結果,効果のある論文ほど「高リスク」あるいは「リスク不明」の項目が多かった。また、実際の運動量が指示された運動量を満たせていなかったものが3編あった。結論:運動プログラムの実施による疲労への軽減効果について明らかにすることはできなかった。今後,アドヒアランスを維持させ低バイアスの質の高いRCTを実施し,疲労感への運動の有用性を明らかにする必要がある。