著者
板倉 和治 中村 勝洋
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.474-480, 1983-07-15

Rivestらが発表した公開鍵暗号方式は 公開鍵機能と署名磯能を備えたすぐれた方式である.しかし 査閲署名 承認署名のように一つの文書に多重に署名をする際に 異なる法(modulo)による演算を多重に実行すると演算のたびにメッセージ長が増加し 演算単位であるブロックの数が増えていくという好ましくない点がある.本論文ではオフィス内の下の地位の人間から順に署名をする限り 多重に署名を行ってもメッセージ長やブロック数が増えることなく かつ地位の変動があったとしても公開されている公開鍵には影響を与えないで 変動のあった個人のもっている非公開鍵のみの容易な変更で済むシステムを検討し 提案している.このシステムではRivestらの方法を直接的に拡張し オフィスシステムに適合した多重署名機能を有する形で用いているが パラメータの大きさ等を考慮に入れれば実際のシステムに適用しても十分実用可能であると考えられる.