- 著者
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板垣 幸樹
金 檀一
佐々木 恒弥
デブコタ ブミナンド
山岸 則夫
- 出版者
- 日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
- 雑誌
- 産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.4, pp.197-204, 2011-12-30 (Released:2013-05-17)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
2
2006年1月から2010年12月までの5年間に,肢骨折の治療を受けた子牛ならびに育成牛25頭についての臨床記録を整理した.症例は黒毛和種19例,ホルスタイン種5例,日本短角種1例で,性別は雄が13例,雌が12例であった.月齢は0~13.0カ月(平均3.4カ月)で,12例(48%)が1カ月齢以内であった.体重は23~300kg (平均105.9kg)で,15例(60%)が100kg以内であった.骨折の種類は,上腕骨の骨幹骨折が3例,橈尺骨の成長板骨折が3例,中手骨の骨幹骨折が7例ならびに成長板骨折が4例,大腿骨頚部骨折が2例,脛骨の骨幹骨折が3例,中足骨の骨幹骨折が3例であった.橈尺骨および中手骨の成長板骨折におけるSalter-Harris分類は,タイプⅠが3例,タイプⅡが3例,タイプⅢが1例であった.また,中手骨,脛骨もしくは中足骨の骨幹骨折症例のうち4例は開放骨折であり,重症度を示すGustilo分類は,タイプⅠが2例,タイプⅢaが1例,タイプⅢbが1例であった.治療として,プラスチックキャストによるフルリムキャストの外固定(FLC)を橈尺骨折3例,中手骨骨折10例.脛骨骨折1例,中足骨骨折2例の計16例に行った.上腕骨骨折3例にはタイプⅠ創外固定を単独もしくは髄内ピン固定との併用で行った.開放骨折の4例中3例と脛骨骨折の1例には,貫通固定ピン(スタイマンピン)とFLCの併用による外固定(TPC)を行った.大腿骨頚部骨折2例では,予後不良のため治療を行わなかった.転帰はおおむね良好であり,大腿骨頚部骨折の症例を除き,23例中20例(87%)が治癒した.