著者
金野 尚武 木村 茉穂 奥澤 里奈 中村 泰隆 池 正和 林 徳子 小原 あゆみ 坂本 裕一 羽生 直人
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-164, 2016 (Released:2016-08-02)
参考文献数
13

木材腐朽性食用きのこ類の菌床栽培において,大量の廃菌床が発生している。廃菌床には腐朽木材が含まれているが現在のところ有効な活用方法がない。成分分析の結果,シイタケ栽培後の廃菌床には25.4%のセルロースが主要成分として含まれていた。そこで本研究では,シイタケ廃菌床にTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒酸化を適用することで,セルロースナノファイバーを調製した。廃菌床(1g)を,3つの次亜塩素酸ナトリウム添加量条件下(20,40,80mmol)において,触媒量のTEMPO と臭化ナトリウムと共に酸化処理した。TEMPO 触媒酸化反応後,水不溶性画分を水中で懸濁させ,超音波処理によりセルロースナノファイバーを個々に分散させた。透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行ったところ,これらセルロースナノファイバーは幅2~3nm,長さ数μmであった。得られたセルロースナノファイバー分散液をキャストすることで透明なフィルムを作製した。セルロースナノファイバーフィルムの収率は次亜塩素酸ナトリウム添加量80mmol 条件下において最も高く,廃菌床1gに対して0.18gであった。また,廃菌床中に含まれるセルロースに対しての収率を算出したところ,71%であった。