著者
小林 諭史 隅 浩紀 福田 吉治 秋枝 一基 三宅 康史
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.628-632, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
10

自傷・自殺未遂の経験は将来の自殺死亡に関連する重要な単一の予測因子である。医療機関における自傷・自殺未遂の症例登録の仕組みが必要であることは,広く指摘されている。著者らは自傷および自殺未遂に関する全国的なレジストリシステム(JA-RSA)を開発した。2021年にプロトタイプ作成,2022年度より全国の救命救急センターに参加を依頼し,各共同研究機関で症例登録を開始した。JA-RSAの特徴は,わが国初の全国的かつ継続的な自殺未遂症例登録の取り組みであり,救命救急センターへ搬送された患者を対象としている。またJA-RSAは,実効的な自殺対策の施策検討や評価にも貢献することが期待される。登録が進むことで,自殺に至る危険因子や社会情勢の変化によるリスクの同定が可能になる。現在,約60の救命救急センターがJA-RSAに参加しているが,今後は全国約300のセンターの参画を目指し,自傷・自殺未遂の実態把握と積極的な自殺対策に活用していく予定である。
著者
林 諭史 川田 将也
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.666-669, 2023-11-15 (Released:2023-11-15)
参考文献数
3

肺動脈本幹中枢側から分岐する枝の処理は,ロボット支援下左上葉切除術で最も注意を要する手技である.第8肋間を中心とした一般的なポート配置では,肺動脈枝の剥離時に背側から挿入されたretraction armが他instrumentと干渉するため,助手の視野展開を要する場面が存在する.da Vinci XiⓇで導入されたポートホッピングを用い,retractionとscopeを移動させることで,術者が左上葉を自由に展開しつつ,安全な手術を行うことができた.ポートホッピングは容易であり,左上葉切除術において有用と考える.