著者
岩崎 有良 石黒 桂一郎 大隅 敏光 相沢 敏晴 米沢 道夫 工藤 勲彦 杉村 文昭 鵜浦 達也 阿部 政直 林 貴雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.692-699, 1979-06-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
22

胃潰瘍および十二指腸潰瘍の再発について両者を比較しながら検討を行った.胃潰瘍の再発率は36.7%,十二指腸潰瘍は35.6%で,両群ともほぼ同様の傾向である.再発の傾向は両群に多くの共通点がみられる.即ち両群とも男性,治癒遷延例,初回開放例,多発例,および治療中止例に再発率が高い,また累積再発率も同様の傾向を示し,治癒後1年以内の再発は胃潰瘍50.8%,十二指腸潰瘍44.5%,2年以内では胃潰瘍75.0%,十二指腸潰瘍75.5%となっている.また胃液分泌能については両群とも活動期→治癒期→瘢痕期と潰瘍が治癒に向うごとに低下がみられるが,時相別に比較しても再発例と非再発例との間に差は認められなかった.両群を比較して大きな違いをみせたのは年代別の再発率で,胃潰瘍のピークが50歳代であるのに対し十二指腸潰瘍では29歳以下となっており,逆に再発率の一番低かったのは胃潰瘍では29歳以下に対し,十二指腸潰瘍;は60歳以上と非常に対称的であった.